
日帰り大腸ポリープ手術
日帰り大腸ポリープ手術
大腸カメラ検査中に治療適応のポリープを発見した場合、「そのまま」、「痛みがなく合併症の少ないコールドスネアポリペクトミー」で切除可能です。
大腸の壁の内側の層を粘膜層といい、この粘膜層の一部がイボのように隆起してできたものを大腸ポリープといいます。隆起といっても、平坦なものやキノコのように茎を持ったものなど形状は様々です。
大腸ポリープは構造や組織により、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、専門的にはさらに細かく分類されています。腫瘍性ポリープには、腺腫(良性)やがん(悪性)などがあり、非腫瘍性ポリープには、過形成性ポリープや過誤腫性ポリープなどがあります。非腫瘍性ポリープは大きいものや出血するもの以外は特に治療を必要としません。しかし、腫瘍性ポリープは発見した段階で腺腫(良性)であったとしても、時間をかけて大きくなりがん(悪性)になる可能性があるため、小さいうちに切除することが大腸がんの予防につながります。多くの報告では、腫瘍性ポリープががん化している確率は、径10mm未満で数%程度、径10〜20mmで10〜25%程度とされています。
大腸ポリープが良性であるうちや大腸がんになってもサイズが小さいうちは、自覚症状を伴うことはほとんどありません。仮に大腸がんができてしまったとしても、ある程度がんが進行してからでないと、腹痛、便通異常、便が細くなる、見た目の血便などの症状は出ないことが多いです。
大腸がん検診や人間ドックなどで行われる便潜血検査は、大腸ポリープのサイズがある程度まで大きくなると陽性となることがあります。便潜血陽性の方や気になる腹部症状がある方には早めの大腸カメラをおすすめします。
最新の統計では日本人の死因として最も多いのが悪性新生物(ほとんどががん)です。そして、がん罹患数(新たにがんと診断された数)は大腸がんが総数で1位、男性で2位、女性で2位、がん死亡数は大腸がんが総数で2位、男性で2位、女性で1位となっています。大腸がんは非常に多いがんであり、その予防や早期発見、早期治療が非常に重要といえます。
大腸がんの危険因子として明らかになっていることは、年齢(50歳以上)、大腸がんの家族歴、高カロリー摂取および肥満、過量のアルコール、喫煙です。危険因子として年齢や家族歴がある以上、生活習慣の改善のみで大腸がんを防ぎきれるものではありません。50歳を過ぎた方や家族歴のある方には定期的な大腸カメラをおすすめします。
過去に大腸ポリープを切除し、そのポリープがきれいに取り切れていたとしても、他の部位に別の新たな大腸ポリープを生じることは多々あります。そのため、切除後の方には定期的な大腸カメラが推奨されています。切除した大腸ポリープの種類や個数によって、推奨される大腸カメラのタイミングが変わってきます。切除歴のある方はお気軽にご相談ください。
大腸ポリープを発見した場合、放置してよい「非腫瘍性」なのか、あるいは治療が必要な「腺腫性」なのかを詳細な観察により確認します。当院で採用している内視鏡には拡大観察や特殊光観察機能があり、ポリープの表面構造を詳しく観察することで、ポリープが「非腫瘍性」か「腫瘍性」か、腫瘍性である場合には「良性」か「すでにがん化している可能性がある」か、多くの場合で判断可能です。また、内視鏡AI画像診断支援システムもその判断をサポートしてくれます。
腫瘍性の場合、ポリープの大きさや形、がん化している可能性があるかどうかで切除の方法が変わってきます。一般的に、8〜10mm未満で隆起が小さく、まだ良性と判断できるものは後述するCSP(コールドスネアポリペクトミー)という方法で治療を完遂できます。径や隆起が大きいものやがん化している可能性があるものはEMR(内視鏡的粘膜切除術)、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などで治療します。EMRやESDは基本的に入院治療となります。
当院では日帰り大腸ポリープ手術としてCSPを行っております。また、EMRやESDなどの入院治療が必要なポリープを発見した場合は、提携病院やご希望の病院に紹介いたしますので、安心して大腸カメラを受けていただけます。
ポリープにスネアと呼ばれる金属製の輪をかけ、スネアを小さく絞って電気を通さずにポリープを切除する方法です。器具の準備から切除まで、ポリープ1個あたり1〜2分程度でできます。切除時の痛みはありません。電気を通さないため、治療後に遅れて出血する合併症が非常に少ないことが特徴であり、日帰り治療が可能です。もし、切除時に出血が目立つ場合は、クリップをかけて止血します。切除したポリープは回収し、確実な診断のため病理検査に提出します。当院ではこの方法で治療を行っています。
ポリープの径や隆起が大きいものやがん化している可能性があるものの治療法のひとつです。粘膜の下に生理食塩水などの薬液を注入してポリープ全体を持ち上げ、そこにスネアをかけて電気を通しながら締めて切除します。治療対象が大きかったり電気を通したりするため、後で出血する可能性がCSPより高くなります。一般的には入院治療として行われます。
さらにポリープの径や隆起が大きいものなどの治療法のひとつです。粘膜の下にヒアルロン酸などの薬液を注入し粘膜を持ち上げたうえで、専用の電気メスで周辺の粘膜を切開し、病変を少しずつ剥離して切除します。EMRより切除に時間を要し、入院期間も長くなることが多いです。
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